DME/KLR
- DME(独語):英語で言うデジタル・エンジン(モーター)・エレクトロニック(DEE)の略で、ボッシュ製モトロニックです。
BMWもボッシュ製モトロニックを採用しています。
'81年式931のDITC(点火)と、Lジェトロニック(燃料)を統合進化したような機能です。
- マップは3パターンしかありません。スロットルポジションスイッチに連動して切り替わります。
アイドリング/パーシャルスロットル/全開専用 です。
アイドリング時と全開時にはエアフロの信号を無視しエンジン回転数のみで燃料コントロールします。
- KLRはノックコントロールとかのコンピューターです。
M44型用のDME
- 仕向地の違いは、DMEそのものの違い、コーディングプラグの違い、FQSの違いで性能が変わっています。
- Coding plug と言うジャンプコードが付いたコネクターがハーネスに付いていて、仕向地別に部品があります(3ピンの組み合わせの違い)。
日本はカルフォルニアと同じ部品。触媒付き用のマップなんでしょうね。
DMEは4つの仕向地別マップを持ち、1台のDMEで各国に対応しています。この切替をCoding plug で行います。
- '82-'85.0にはEU用(ML1.1)とUS&日本用(ML1.2)があります。
EU用は有鉛ハイオク、US&日本用は無鉛レギュラー&触媒用だと思います。
EU用(ML1.1)はシンプルなマップです。US等用(ML1.2)にはO2センサーによる補正回路があります。
- 944A(ML1.2)にはバグがあるそうです。('82-'85.0のUS/カナダ/日本)
燃料シャット・オフ周波数を1,350rpmから2,000rpmに増加させるためにコード修正すると解決するようです。
- '85.5-'89(ML3.1)では途中'88モデルでチップ(ROM)の足が24ピンが28ピンに変わります。
28ピンではデータが増えているので制御が少し細かく滑らか。
24ピンのでも基盤が28ピン型なら28ピン用ソケットを半田付けして28ピンROM制御に改造も可能。
ソケット以外に、基盤にジャンパー線を半田付けします。基盤のB700というところ(不明なので要確認)。
- 951は(ML3.1)らしいが少し違うみたいです。FQSがあります。
- 944S・944S2 には(ML2.1)が使われます。FQSがあります。
944S2は'90,'91にはKLRがあるようです。
'89の944S2はコンピューターチップが256の1ヶのものと2ヶのものがあるらしいです。
DMEのコネクター部分も端子が2段の配列と3段の配列があるようです。
- 部品番号で調べると、'89と'90は同じDMEで、'91が別番号になっています。インマニ、インジェクタも'91は違う。
- '91はレスポンスが良いそうです。'91のDMEユニットを'90に移植する事も可能。
- 968のDMEは同じサイズの箱ですが中の基盤は今までと別物です、高度に集積され基盤は1枚になっています。
- 今までのようなFQSは無いようです。
修理
- 2005年現在968ならまだ新品のDMEユニットが手に入りますが高いです。
- 中古品を探すのも手ですが、修理という方法もあります。
- ディーラーではドイツ本国からリンク品を取り寄せて到着したら交換して下取りに返す方法もあります。リビルト品みたいな物。10万くらいはするみたい?
- 米国の Focus 9 Technology では、DMEユニット(コア送付交換)や、ソリッドステートリレーを製作販売しています(HP見ただけですが/2023年)
アイドリング学習法
- バッテリーを切ったりした後には、コントロールユニットの記憶が消えるのでアイドリングをさせて記憶させます。
- 取り説によると951,S2、968は10分間です。
- カタログによると学習能力のあるノックセンサーがどの領域でノッキングしたかを記憶し点火ミスを減少させるとあります。
- DOHC&TURBOモデルに採用されたノックセンサーは、粗悪なガソリン使用の為ではなく出力や追い越し加速向上など点火タイミングのプログラム特性改善のためである。
(ですから924S/944には関係ないようです)
アイドリング調整方法(アイドルスタビISCV作動キャンセル)
- 951なんかですとスロットルボディーにアイドリング調整のネジが付いています(よく取れて無くなるけど)
スロットル全閉(アイドリング)時のバイパス回路の原始的な流量調整だと思います。
- アイドリング調整やCO調整する時にはDMEの自動補正(アイドルスタビライザー[ISCV]作動)を殺して調整する必要があります。
- ヒューズ/リレーBOX前のキャニスターからの配管の近くに蓋の付いた黒くて丸いコネクターがあります。
コネクターのLEDを起点に時計回転にLED、C、+、A、B、とあります。
BとCをジャンプさせます。
- アイドリングは 840+-40rpm
- 普通、エンジン始動直後でも国産車のようなチョーク引いてる見たいなアイドルアップはしません。
- 944Sはスロットルボディーの穴に細いヘキサゴンレンチみたいなSST突っ込んで回すみたいです?
- 944S2/968の場合ここでは調整しないのかも?(COテストパイプも無いし)
- スロットルボディーに調整機構は無く、水路とISCVともう1本のホースがあるだけです。電気的に制御している可能性有り。
- アイドリングが狂った場合他に原因があるはずです。例えばエアフロやスロットルバルブスイッチの接触不良など。
試せるのはバッテリー切ってアイドリング学習法するのと上記の接点磨きとISCVの洗浄くらいです。
- ヘタにいじり壊す前にダイアグノーシスのツールがある専門店で見てもらうのが早道でしょう。
- アイドルスタビライザー(ISCV)はホースが2本とコネクターがある円筒形のソレノイドバルブ?です。
944/924Sはインマニの影にあり、944S2はインマニの1番と2番の間にあります。
Golf2オーナーなんかは不調の時キャブクリーナーで洗浄したりしているようです。その後CRC5-56。
洗浄して駄目なら交換になります。通電させて微震動すれば生きている。
- FQS(Fuel Quality Switch)とは仕向地のガソリンオクタン価に合わせるスイッチです。
- DMEボックスの中にあり、黒いキャップを外すと中のロータリスイッチが見えます(968にはこのスイッチはありません)。
- 実は924系マシンの燃調は販売時のままだと燃調が濃すぎて本来の性能が出ていません。
- 日本のハイオクはオクタン価100以上が主流なのですが、もっと低いのに合わせた感じなのです。
- このスイッチの調整を'88-924Sから始め、'90/'91-944S2、'89-944、'85-944 で実験してみるとレスポンスがアップしました。
この調整(切り替え)だけで、重いエンジンがレスポンスアップしたり、高回転が軽く回るようになるのです。
流石に出力が倍になるとかまではありませんが、いかに今までが駄目な状態だったかを知ることが出来るでしょう。
- FQSで改善されるのは、DMEに3パターンあるマップの内のパーシャルスロットルのマップだけのようです。
全開専用のマップ(エアフロを無視して回転数だけで燃調)は体感できるほどの差は出ないので、ロムチューンで進角させたいところです。
- 944(ALL)のエアフロ(フラップ式)の内部のバネ調整でも燃調が変わります。
1988年型924S/944のFQSは間違っている? 何故そのことに気付いたのかっ!
- M44/09〜M44/12 SOHCエンジンは圧縮比が上がりハイオクタン仕様になっています。シャシダイでパワーチェックしてみました。
- カタログでは160HPにパワーアップしているはずが実際にはレギュラーガスの'87モデルより著しくパワーダウンして140HP程度しかありません?!!
- 全開で走ってもプラグは真っ黒に濡れてるし、新車時のFQS設定が間違っているのでは???
- 新車販売時の位置は左いっぱいのストック0位置なのですが、この位置では空燃比が濃すぎるのです!
ユウキの924CSに現車合わせチップを製作する時に空燃費をシャシダイ使って計測したところ、めちゃくちゃ濃かった。
アイドルではA/Fが1:14位でまともなのですが、3000rpm〜4200が1:11、4300〜5900が1:10、6000〜6400がなんと1:9、ここで疑問が・・・
- 新車販売時のストック位置はレギュラーガス用の位置なのでは?
ノックセンサーの無いエンジンなので、当時無鉛ハイオクが出たばかりの日本では間違ってレギュラーを入れても壊れないようノッキング防止に濃くしている気がします。
- ハイオクで本来の性能が出るのは時計回りに2段進めた2の位置の-3%なのでは?
- 【11677】実験の'88-924Sでも2の位置(左から0,1,2の2)に切り替えることで調子よく、CO値も良くなり燃費も良くなったそうです。
- エンジンが軽く回るようになり、フィーリングも加速力も良くなります!ギア比も適正になります。
- これならスポーツカーのエンジンだと言えるレベルにはなることでしょう。
- '89年式2.7L-944もこのモードでレスポンスアップします。
- 逆に、レギュラーガス仕様だった'87年式以前のモデル('83-'87)でも効果が出るようです。
ヨーロッパ仕様では、'86年式で無鉛レギュラーガス仕様エンジンが選べるようになるまで有鉛ハイオク仕様でした。
そのため、日本ではレギュラーガス&三元触媒仕様だった'87年式以前でもFQS薄くしたらハイオクガソリンを入れる必要があるかもしれません。
ノッキングがすぐに起きるようでしたらスパークプラグ等を点検してみる必要があります。
944S2もレスポンスアップ
- 951、944S以降はノックセンサーが付き、ノッキングを感知すると遅角する仕組みになっています。
なので、ぎりぎりまでエンジン性能を出し切る燃調や点火時期のプログラムになってると思ったらそうでもなかった。
- S2もFQSによりレスポンスアップします!【14565】
3L4気筒で低速トルクは十分あるけど重くて伸びないフィーリングがレスポンスアップします。特に低中回転のピックアップは別物のよう。
- 944S2(944S)の場合は、FQSを3の位置(左から0,1,2,3の3)にするとレスポンスが良くなります。
- 浜松太郎さんによると1990年式944S2の空燃比は順に、0,+3%,+6%,-3%,0,+3%,+6%,-3% と思われ、924S/944とは異なるようです。
- S2では水温がやや高めになる報告がありました。
チューンでは、燃調を薄くすると発熱量が大きくなるので水温が上がったのでしょうか。
- 燃費は良くならなかった報告もあります。
- 944ターボもFQSがあります。効き目があった人もいるようです。968はFQSがスイッチではありません。
変更方法
- バッテリーのマイナスを外します。
- DMEの場所は下記チップ交換の文章を参考にして下さい。
- BOXを開けなくても黒いプラスチックの丸い栓があるのでこれを外せばFQSが見えます。(開けても良いですけど)
- 割り箸等を三角に削ってSSTを作り、これで現在の位置が一番左の0位置にあるか確認します。
- 0位置であったら薄くなる位置に回します。クリック感があります。
- 944S、944S2はこの後アイドリング学習させます。924S、944Bは不要。
- 注:これは自己責任でお願いします。DMEによってFQSのモードが違っていますので注意です。
- 注:出来れば空燃比測定をしながらの調整がお勧めです。スパークプラグの焼け具合も確認して下さい。
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FQSの解説
- FQS(Fuel Quality Switch)とは仕向地のガソリンオクタン価に合わせるロータリスイッチで、DMEの中にあります。
オクタン価の低い地域では空燃費を濃くしたり、点火時期を遅角したりするモードが選べます。
逆にオクタン価の高いハイオクが入れられるのなら適切な空燃費にしないとエンジンの性能が発揮されていない事になります。
他に、標高(高度)によってもモードを変えるようです。
- '88年式から924S/944も無鉛ハイオク指定のエンジンになります。
'87年式まで924S/944はレギュラー指定です。
ヨーロッパ本国では日本/アメリカと違い'87まで触媒無しの有鉛ハイオク仕様でした。圧縮比も高く出力は163HP仕様。
並行車の場合セット位置の確認はしておいても損はないでしょう。
- 一般にレギュラーガスの理想空燃比は 1:14.7 と言われています。
- パワー空燃比は 1:13.5 と言われています。
- FQSが販売時のストック位置(一番左の0位置)では濃すぎるので、ハイオクならもっと薄くするべきなのです。
- FQSを−3%のモードに切り替える事により、パーシャルスロットル時のマップが適正化されレスポンスアップします。
- 全開時はエアフロを無視するのでFQSでは体感変化無く、やるならロムチューンが必要。
- 924S(944B)のDMEボックス画像
- Full CCW 反時計回り(左目一杯)がストック位置0、そこから時計回りに7種類の空燃比と点火時期の組み合わせの補正が出来ます。
ボリュームではないので注意です、セレクタースイッチによるモード切り替えです。
ストック位置0とはじめの3つは点火時期基準値のまま、次からの4つは約−3度(遅角?)です。
944A/944B/924S/951の空燃比は順に、0,+3%,-3%,+6%,0,+3%,-3%,+6% で、遅角の度合いが異なるだけで空燃比のモードは同じ配列です。
944S/944S2は、海外サイトの配列に反して3の位置が良いようです。
燃料の増減は噴射時間で調整するのかもしれません?
空燃比(AF)−−− 空気重量÷燃料重量 −−−例→ 燃料1g:空気14g
- 944A(ML1.2)の場合?O2センサーが空燃比を14.7に固定させてしまうそうです。
アイドリング時など低負荷時は理想空燃比14.7がベストですが、高負荷時はもっと濃くしなければなりません。
O2(ラムダ)センサーを殺して13.5〜12.5にするとパワーが出るようです。(パワー空燃比は 1:13.5)
- こちらのサイトが参考になります。The 944 Motronic DME
インフォシーク訳
FQS(Fuel Quality Switch) |
ポジション | 0(左目一杯) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
空燃比924S/944 | 0 | +3% | −3% | +6% | 0 | +3% | −3% | +6% |
空燃比944S2 | 0 | +3% | +6% | −3% | 0 | +3% | +6% | −3% |
点火タイミング | 0 | 約−3度(遅角?) |
コンピューターROMのチューン
- M44型のDMEのコンピューターチップ(ROM)交換はゲタが初めから付いていて簡単です。ハンダをはがしたりしなくてもいいのです。
('83-911-3.2Carrera のは24ピンのが半田で固定されていましたので初期の944はハンダかも?)
DMEのバージョンと年式でチップは違います。
'88年式から28ピンに変わりますが、24ピンDMEでも28ピンに改造可能な場合があります。
- アメリカなどから通販で簡単にチューンドロムが取り寄せられますが、そのままではパワーアップしません! 損するだけです!
Coding plug と言うジャンプコードで読むマップが異なり、この組み替えもしなければ意味が無いチップもあります。
ポン付けロムの解説
- Weltmeister社のTC-5800パワーロムを海外通販で購入し、ロム交換をしてみました。1995年頃の話です。
- しかし、実際にはこのまま交換しても全然パワーアップしませんでした。
中を調べると、このロムは点火時期だけ純正より進めてあり、空燃比は純正のままでした。レブリミットは7,000rpmへ引き上げられています。
純正のロムも空燃費を調べましたら、めちゃくちゃ濃い数値でした。純正と空燃費が同じと言うことは、このロムでも濃いと言うことです。
- 空燃比をいじってからでないと、このロムの進角効果は出ないのだと思われます。
1988年型924S/944はFQSで空燃比を薄くし、パワーロム交換で点火時期を進めるチューニングならパワーアップするのかもしれません。
- 944ターボ(951)、特に後期型なんかはポン付けで300Psにパワーアップ!? この世代の車だと300HPって凄い馬力です。
売ってる商品は、2つのチップだけではなく、ウエストゲートの調整シム部品がセットになっております。
- 944ターボは特にサブコンなどでまだまだパワーアップさせる余地があります。素944エンジンは2倍の出力に耐える設計だったらしい。それ以上だとガスケットが持たないらしい。
- FQSでは遅角に出来ますが、進角は出来ません。燃えにくいハイオクで進角させるのにはロムチューンしかありません。
- FQSでは差が感じられない全開時のパワーアップにはロムチューンでしょう!
- ポルシェ様純正もイイが、現車合わせで作るのがベストです。通販のポン付けロムより現車合わせの方が断然良かったです。
- 某所で作った現車合わせのオリジナルロムは薄くして進角という内容だが、全開時はパワー空燃比よりまだ濃いだったかも?
- 2007年、浜松太郎さんが944S2(全年式)用チューンドロムチップを作りました。レスポンス重視設計です。
- 浜松太郎さんは924S/944(1988年式)用のチューンドロムチップも作りました。ノーマルミッションでも944S2のに換装したのでもOK。
DMEコンピューターBOXの開け方
- DME(Bosch ECU)は924の場合インパネの下、944後期は助手席のフットボード(ベニア板)の裏です。
- 951はDMEとKLRがあります。
DMEとKLRのボックスが助手席足下にあり、DMEは大きい箱の方です。
KLRはノックコントロールとかの箱でインテークマニホールドから室内へ白いホースが伸びてきて接続されています。
- 開け方は、画像の緑丸(金属板のフック)を解除して取り出し、カシメている爪を起こして開けます。
- 中身を取り出しましたら、画像の黄色丸の支柱のジョイントを静かに外します。
- 924Sの場合、基盤の抜け止めのストッパーを解除して引き出し、開きます。
- 944Sの場合、コネクターの内側のストッパーを解除し、一番上の段の端子の列を引き下げて基盤ごと抜きます。
- DMEコンピューター画像の画像を見てください、画像の赤丸で囲んだところがチップです。
- コンピューターチップ(ROM)の交換はゲタが初めから付いていて簡単です。ハンダをはがしたりしなくてもいいのです。
- チップの切り欠きの向きに注意して交換します。
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DMEコーディングとVariant switch
- 944S、944S2のDME(DEE)は、仕向地の仕様に合わせた変更をするジャンパー線のコネクターがあります。
ワークショップマニュアルの、「28−103」「28−107」にあります。
- Variant switch (DMEに繋がるハーネスから出ているコネクターに繋ぐジャンパー線のプラグ)で仕向地に合わせた変更を行うようになっています。
- 例えば、944S2の場合、「USAと世界中の触媒付きモデル」「カリフォルニアと日本の触媒付きモデル」「世界中の触媒の無いモデル」の3仕様になります。
'89-951 の助手席周り
- グローブBOXの裏にカーステのパワーアンプがぶら下がっています。
- 足下、右壁面(懐中電灯ホルダーのところ)のカーペットを剥がすとABSのらしいコンピューターあり。
BOSCH製、928.618.119.05
- 足下カーペットを剥がすと黒いベニア製トーボードがありその裏側にコンピューターがあります。
BOSCH製、TYP951MW-02、DME:951.618.121.09
BOSCH製、TYP951KRW-02、KLR:951.618.113.09
HELLA製、Alarm-Steuergeraet
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