用語解説集
第1章用

会社名・用語
アウトウニオン社
現在のアウディ社。元々、ホルヒ・ヴァンダラー・DKW・アウディの4社が合併して出来たもの。エンブレムの4輪はこの4社を指すと言われる。後にNSUを吸収して「アウディNSUアウトウニオン社」となり、1980年代に入り、現在の「アウディ社」と名称を変える。
NSUヴァンケル社
世界で最初にヴァンケルロータリーエンジンを実用化したメーカー。1969年にアウトウニオン社に吸収合併され、1975年以降は元の本社工場であるネッカーズウルムの工場で924の生産に着手する事となる。
VWポルシェ販売会社
1969年、VW社とポルシェ社の共同出資で設立された、VW・ポルシェ両社の製品を取り扱う会社。メイン商品は914だったが、発足当初より赤字続きでVW社の社長交代後、新社長ライニングは1972年に解散勧告を出し、1974年にはVW社の全面撤退、会社は914が生産されていた時は開店休業状態で続いていたが、914生産中止の1976年に閉業。
マスキー法
正式にはアメリカ改正大気清浄法という名の法案で、マスキー上院議員の発案によって可決されたためこう呼ばれる。1970年にアメリカ政府機関であるCARB(California Air Resource Board)によって制定されようとしたが、1974年には廃案になっている。光化学スモッグなどの大気汚染の原因物資である酸化窒素(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)などの有害物質のエンジンからの発生を段階的に抑制する事を求めたこのマスキー法をクリアさせるのは、不可能とも思える道のりだった。
FMVSS
Federal MotorVehicle Safety Standard(連邦自動車安全規制)、略して「FMVSS」と言われ、アメリカ合衆国の安全に関する規制事項を定めていた。余談であるが、有名な物に「前照灯の高さ規定」で、フェラーリ365GTB4デイトナのライトが固定式からリトラクタブルになったのも、FMVSSが規定していた。
5マイルバンパー装着義務
FMVSSが1974年から新たに施行されたのが「時速5マイル(約8km/h)以内での単独衝突において、ボディにダメージを与えずにエネルギーを吸収し、また自身も復元する衝撃吸収装置を装備する事」という趣旨の項目<FMVSS208>。FMVSSでは単に衝撃吸収バンパーの装着のみならず、その地上からの高さについても定めていた。
オイルショック
1973年10月、第4次中東戦争をきっかけに石油危機が世界を襲った。石油価格が2ヶ月で約4倍に値上がりし、世界的に「狂乱物価」と「マイナス成長」を経験する。日本では、トイレットペーパー買いだめ騒動や、ガソリンスタンドの休日休業、新聞の減頁などが起きた。
ヴァリアント
英語読みだと「ヴァリエーション」。ポルシェ社では、新型の試作品や新しく開発する予定のモデルの事をこのように呼ぶ風習があった。本物語の中では、928の開発途中の呼び名として出てくる。
トランスアスクル
FR駆動方式の車で、ミッションとデフを一体構造としリアに搭載する事で、前後の重量バランスを理想的配分にし、また後輪荷重を大きくする事で駆動力をロスなく路面に伝える方式。実はポルシェにしてみれば、この方式は924、928が最初ではなくDr.フェルディナント・ポルシェがダイムラー時代にその方式を採用したレーシングカーがあったと言う。
積み木箱原理
まず、直列4気筒又は5気筒エンジンを用意し、それを積み木のように積み合わせることで(今回の話の内容ではエンジンを2基つなげてV型エンジンを作る、と言う方法)、比較的容易に大型エンジンを作る、と言った思想。最近では珍しく無いが、当時としては斬新な考えだった。尚、V型エンジンをそのまま繋げる、と言った積み木箱原理も、後にチゼータV16Tで作られた(ランボルギーニ製V8を繋げてV16気筒エンジン)。
ヴァイザッハ・アスクル
基本的に固定されているリア・サスペンション(928の場合セミトレーリング・アーム)を、柔らかいラバーブッシュでボディーにマウントする事により、コーナーリング中やブレーキングの際にトー角を変化させる。後の日本車で出てきた4WS(日産のHICAS、マツダ、本田の4WS)のはしりとも言える。

用語解説・人 [1]
用語解説・車 [1]
会社名・用語 [2]
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