No.A105
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924に関するイヤーモデルごとの改良点は924系の歴史のページに記しましたが、簡単に924を紹介します。
924は、水冷直列4気筒エンジンを搭載するモデルです。一体型のミッションとデフをリアに置くトランスアクスル方式のFR車です。
1976年に登場し、日本へは8月に1号車が上陸し1977年モデルとして販売が開始されました。
当初、アウディ製をベースとしたSOHC2000ccエンジンでしたが、後にターボの追加、ポルシェ製2500ccの944の登場、DOHCモデル、排気量拡大などが行われてゆきました。
924(924S)としては最終モデルとなる1988年式には特別仕様車が発売になりました。
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自分が924CSを初めて知ったのは世界文化社発行『 Car EX MAR.1993 Vol.5 』のP.27にある968CSの説明ででした。
「エアコン、パワーウインド、電動シート・・・、そんなモノがスポーツカーに必要なのか。
技術主任ヘルムート・ボットの答えはNOだった。
そこで誕生するCS。968以前に911,944,924にもCSがあり、どれも走りのための装備は一切排除した。
リアシートからエンブレムまでグラム単位で軽量化が図られたCSに、世界中のファンは熱狂した。」
と言う文ででした。
「そうか、924SにもCSがあるのか」 当時は他の資料を探すまでの興味はなく、924CSという名称だと思っていました。
『CAR GRAPHIC No.321 1987-12』
昔は資料が全くなく、924CSの資料というとCG誌1987-12(321号)のPORSCHE NEWS & INFORMATION に書かれているだけで、リアシートがあるのかないのかさえわかりませんでした?!
この号では944ターボSは紹介されていませんが、'88ニューポルシェの<限定販売車>の紹介として次のモデルが紹介されています。
924Sクラブスポーツ、944エクスクルーシブ、911カレラクーペ・エクスクルーシブ、911カレラカブリオレ・エクスクルーシブ、が、いずれも1000台ずつの限定生産で全世界に発売されるという内容です。
日本への割り当てと価格は、
924Sクラブスポーツ:MT12台/625万円、AT8台/640万 です。
ここで924CSの名称について重要なことが判明します。
「924S Club Sport」という文字は存在せず、あるのは「924Sクラブスポーツ」だけであること!
管見の限り、アルファベットでの車種名は見つからず、唯一の広告ではカタカナで書かれていました。
『THE SPECIAL CARS '88 1st issue SPECIAL PORSCHE』には1988年モデルのD車の新車ラインナップ記事が載っています。
ここで924S(黒)のカラー画像が1枚大きく出ていますが、これが紛れもないクラブスポーツ! しかし、名前はもちろん、説明内容も通常の924Sでした。
クラブスポーツは、一時ポルシェのほぼ全モデルに設定がなされました。
「911 3.2カレラ」「944−2.7」「944S2」「968」そして「928S4」にも!
● クラブスポーツは元々サンデーレース等も楽しめるスポーツモデルと広告に書いてあるので、本国ではおそらく、エアコン、パワーウインドゥ、リアシート等が除かれて徹底的に軽量化されていたはずと思っていました。911CSがそうだし。
自分は当時、後に登場する968CSのことは知っていましたが、944S2CSのことは知らなかったので、尚更です。
924ターボSに乗っていた自分ですが、ターボSをカレラGTのようにインタークーラーターボに改造して乗り続けるつもりでした。しかし、924Sへの乗り換えを考えるようになりました。
すると突然924Sクラブスポーツを購入するチャンスに巡り会うことになります。
個人売買でした。走行1.6万km台でとても綺麗でした。
ルーフを収納するケース、車載工具、オーナーズマニュアル、記録簿、ほとんど付いていました。パトライトと空気圧ゲージだけ無いようなものです。予備のクラッチ一式ももらいました。
自分の924CSは[WPOZZZ92ZJN4003**]と言う'88モデルの300番台です。初年度登録は昭和63年('88年)8月なので売れ残りでしょうか?
924Sの日本での形式は「E−924」、原動機の形式は「944」です。原動機の形式をなんで正確に登録しなかったのか? 車検場で時間喰うはめになりました。
エンジンNo.はエンジンブロックのエキゾースト側クラッチ寄りに刻印があります。M44/09 48000616
● 謎の日本仕様はスポーツシャシー、360mm径革巻き4本スポークハンドル、スポーツシート(サイドの張り出しが大きい)の他に、なぜかエアコン、パワーウインドゥ、パワステ、リアシート、リアワイパー、リムーバブルトップ、マッドガード、カセットコンソール、4スピーカーが標準装備で豪華です。 ちなみにリムーバブルトップとはサンルーフのことで、脱着式でFRPなのか樹脂製のようです(931も)。チルトだけ電動式です。 車検証上は増量になっていません。コーナーウェイトゲージ計っても同じ感じでした。リアのエンブレムは924Sのステッカーです。しかし、私はCSのエンブレムを勝手にチタンで作りました。 「924S Club Sport」を略しても「924SCS」とは呼びたくない(911SC−Sみたいだから)、「CS」です。
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長年自分が924系を乗り続けているのは、初代セルボに乗ってた位コンパクトで着座位置の低いスポーツカーが好きだからです。
しかし、924CSは924Turbo−Sと違ってシートが高い?! 何故?(930用?)悲しい。カレラGTもほぼ同じだけど。
右側シート(助手席)を裏返すと、RECAROシールと911.521.008.07と品番が書かれた布がありました
● 他にノーマルとの違いは、ボディーのモールが944用の太い物になっている。
アンテナがルーフトップタイプになっている。基台に[flex tronic]の文字が書いてある。ネジピッチは968やVWゴルフとは異なる。フェンダーは穴のない部品同士を左右組み合わせたのか?
ホイールがボディーと同色でリムだけ変な色に変更されている。ホイールサイズもノーマルが前後6JX15なのに対し、タイヤは同じ195/65-15ながらリアホイールのみ944と同サイズの7JX15になっている。(装着タイヤはドイツ製センペリット社)
内装もカレラGT譲りなのか縦縞模様でグレー地にホイールと同色のライン入りになっている。
924Sの日本専用装備であるフロントオーバーフェンダーですが、924CSのはモールの逃げの切り欠きが無くCS専用品。
リアのマッドガードも924ターボではモールの逃げの切り欠きがあるが924CSにはなく、逆に出っ張りを切り取って水平にしている。などなどです。
● そして一番驚いたのは、車高調が入っていることだ!1995年11月頃までは車検が厳しかったので、車高調でそのまま車検に通るというのに驚きました。
写真のフロントストラットの皿に注目!
インナーカートリッジ交換式のKONIのようです?
ステンメッシュブレーキホースとドリルドローターは社外品に交換したのでノンオリジナルです。
左ショックの刻印 944.343.051.00 と、05200とアウディーVWマークと10F701
車高調の皿には 937.343.626.01 と言うカレラGT品番が打ってあります。
サスのコイルには赤いマーキングが塗ってあります。これもM030の証。
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リアのアームは944同様アルミ製です。リアのショックアブソーバーは黄色いKONIのバリアブルです。
市販品と異なり純正品番が入っているだけではなく、緑のラインが入っているM030(スポーツシャシー)です。
M030なのでリアのスタビなんか968CSより太い市販シリーズ最強の20mmです。
新車納車時のデータをディーラーで調べてもらいました。
Model/Type ----- 477 / 132
VEHICLE-OPTIONS ----- 030,360,431,526,573,650,657,755,989 Interior Eqp ----- RP
オプションの内容は、
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[ ORIGINAL PORSCHE 924/944/968 ]と言う洋書を見ると、[ Le mans ]なる'88-924モデルが載っています。
写真を見ると、924CSととかなり似ていていますが異なります。やはり白と黒の設定があったようです。
924Sの世界限定1000台の内、20台が日本の924Sクラブスポーツです。
しかし、世界では日本仕様が存在することが知られていないようで、特別仕様(スペシャルモデル)は980台と言われているようでした。
その980台には、ドイツの Exklusiv-Modell 、イギリスの Le Mans 、アメリカの 924SE など細部が異なります。1987年7月から9月の間に生産されたようです。
スペイン/ポルトガル用には Spirit という触媒レスで170HPの30台限定モデルがあるようです。
[ christo phorus No208/October 1987 ]を見ると1988年モデルの924Sに特別仕様車の設定が詳しく書かれています。
924S Version 1 ,924S Version 2 です。上記のblackが1でalpine whiteが2になったようです。
ホイールはボディ同色でリムがそれぞれ、black/turquoise ,alpine white/ocher になっています。シートも灰色地にそれぞれの色で縁取りがされています。
the sports chassis for 924 S Exclusive models.
海外向けに日本仕様をここに少し紹介しておきます。
In 1988, Porsche released the limited model of 924S.
While 980 cars were sold as 924S Le mans in the world, 20 cars were sold as "924S Club Sport" in Japan.
This Japanese limited model had some equipments different from world models, e.g."bee sting"roof antenna.
12 cars out of 20 were MT models, and I own one of them!
924S | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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参考にしたDimensions Tolerances,Original Porsche,HISTORIC CAR BOOKS,車検証,実測で数値が異なっています。 |
● エンジンは今となっては非力なSOHC8バルブの2.5Lです。
CSに限らず、'88から924Sは155HPから160HPになります。
日本仕様の'88モデルはハイオク用マップをレギュラー用にしてパワーダウンし、140HPしか出ていません。FQSを-3%モードにする必要があります。
MT車のみ触媒以降が944Sと同じマフラーに変わりました。パイプが太くなりサブマフラーが付きます。
エキマニは純正状態で鋼板製4in2in1です。944と同じなのでバランサーシャフト付きのエンジンです。
2000年1月9日、東雲のSオートバックスでパワーチェックしました。結果は馬力測定グラフをご覧下さい。
● マニュアルトランスミッションはこの年から世界共通になり、ヨーロッパ仕様に統一されました。
結果、日本/USA仕様の5速ギヤが低くなりました。CSでもLSDはオプションで未装備です。016J[QK]です。
つるしの日本仕様ははっきり言ってがっかりです。ボアの大きい4気筒だからかと思っていましたが違いました。
燃調を薄くしたオリジナルロムに交換し、ミッションを944S2CSのに交換したら全く別物のように変わりました。
21世紀は、走行29671qで迎えました。2005年12月現在37958km,2006年12月現在38039km,2024年約44500km
■ 私の924CSは走行距離が少ないこともあってかトラブルは2つだけ、乗らないでいたためにクラッチシリンダーからオイル漏れしたことと、リレーが壊れたことくらいです。
あと、ウォッシャーポンプが壊れたっけ。
はっきり言って、国産車よりトラブルが少なかったです。
19年経って、細々故障発生。電動ファン回りっぱなし(センサーか?)、クラッチレリーズシリンダーまたオイル漏れ。
924CSディーラーのステッカー画像
■ 1回目の車検以外は全てユーザー車検であまり部品交換していませんが調子イイです。
エンジンのタイミングベルトは4万Km交換推奨らしいが8万Kmでもよい記事もあり悩んだが、9年目(2.7万Km)の時に交換しました。
924CSの改造点 ENTER |