新・連載読み物
第1章 924Turbo
ユウキ編集で比較の前座として924ターボを書きます。

L4物語でも、924とライバルの 比較データのページがありましたが、 同クラスのライバルと比べて遜色ないデータです。
しかし、バランスが良ければよい程、モア・パワーを求めたくなるものです。
そして、現状のままでは新しい80年代に向けたポルシェ、ポスト911の座を 継ぐには物足りなかったのです。

930に次ぐポルシェのターボ・カー、931こと924ターボが登場します。
毎年の改良により、足回り、ミッション共に改良されてあった924にターボチャージャーが搭載され、 日本仕様でさえパワー/トルク共に30%以上のパワーアップがされました。
924ターボは、BMW2002、930の時代とは異なり、 パワーと扱いやすさを両立することに成功した新世代のターボ・カーに仕上がりました。

ポルシェは924ターボのホモローゲーションモデルである937こと924カレラGTを開発します。
レーシングモデルはル・マン24時間レースで完走を果たします。
924ターボには本物のレーシングカレラが存在するのです。

CG誌'82-09において、三菱スタリオン2000ターボ GSR-3、トヨタセリカXX 2800GT、日産フェアレディーZ 280Z、 マツダサバンナRX−7 GT-X、との比較記事があります。
924ターボの圧勝でした。価格も圧勝ですが。

スタリオンは924ターボを性能目標として1982年にデビューしています。
逆にポルシェはスタリオンと同じようにサイレントシャフト(バランスシャフト)を用いたエンジンの944を開発し、 日本仕様の924ターボは消滅しました。

イタリアなどを除き、たった3年間だけの短いモデルであった924ターボは20年たった今、レアでマニアックなマシンである素質が見いだせます。
944/951/968が登場してから振り返ってみるとマニアックさでは一番であることがわかります。

ポスト911を目指し80年代へのターボカーとして誕生し、レースにもカレラモデルが参戦と言う本気度、
シリーズ中、エンジン+ミッションがポルシェ製で4輪ディスクと言う911並のシャシーなのは924ターボSとカレラGTだけであること。
そのシャシーの一例としてホイール、タイヤは'88年まで50・55扁平が認可されなかった日本車とはファミリーカーとレーシングカーくらいスペックが別次元でした。

'80年当時、スカイラインターボGT-ES、RX-7 SE-Limited、ソアラ2800GT-Eが、195/70-14インチや185/70-13インチを履いている時代に、 205/55-16インチP7タイヤを履き、ホイールは鍛造16インチ、ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクと言うスペック、
どう転んでも並べない差を見せつけました。 200-300万の日本車勢と785万円の924ターボSの違いは伊達ではなかったのです。


身内との比較
944や968が無理の無い設計で造られている感じがあるのに対し、924ターボやカレラGTには無理矢理レーシング的無骨な迫力があります。
ターボでパワーアップし、冷却用ダクトをこれでもかと増設、オイルクーラーも追加、
パワーアップ分ブレーキも4輪ベンチレーテッドディスクに強化してホイールもインチアップ、タイヤはP7の55扁平、
レーシングカーのようにオイルセパレーターも装備しました。
空力的にはリアスポイラーを装備(日本仕様を除く)しました。
カレラではさらにトレッドを広げてブリスターフェンダー装着、
対処療法的に外観も変化しレーシングカー的に格好良かったのです。

たった3年間だけの924ターボ、それは特別なモデルなのです。


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