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シャシーの考察

968CS

924CS Web Master924系考察(シャシー編)

924がデビューした時、アウディー・VWの部品がエンジンやミッション、足回りに使われていました。
しかし、重要なのは『専用のプラットフォーム』で設計される事なのです!
ファミリーカーのプラットフォーム(シャシー)を共用しているようでは特別な車として認められないのです。

924のプラットフォーム(シャシー)最大の特徴は、
フロント車軸上にエンジンとクラッチを置き、リア車軸上にミッションとデフを置くトランスアクスルレイアウトのFR車という点にあります。
このレイアウトにより、前後50:50の重量配分に近付けられるのです。
エンジンとミッションはトルクチューブで結ばれ、それを通すフロアには、もの凄く高いセンタートンネルが出現し、車体の強度を高める構造になっています。
このような構造の専用プラットフォーム(シャシー)を持つのが924系のマシンなのです。
924は当時の国産スポーツカーとは作りが違います。新車の値段が何倍も違うわけです。


'88-924CS-MT


'94-968Cab-Tip
AT車はクラッチ位置にフライホイールダンパー、トルコンはリアに置かれる
カブリオレは補強で二重底に強化されている!

Cross Member

フロントの左右ロアアームは強固なアルミ製クロスメンバーで連結されています。
(2000cc924はこのあたりのパーツも鉄製板金物なので少し剛性が低いかも)
このクロスメンバーにエンジンマウントが乗っている構造です。

リアシートの部分にも車体を横断する太いクロスメンバーがあります。車内側からシートを外すとわかります)

944B/TURBO以降ではフロントロアアームも鉄製板金物からアルミ鋳物製になり剛性アップと軽量化が行われています。
リアのバナナアームも同じく巨大なアルミ鋳物に924Sを含めて採用されました。
アルミ鋳物製の採用はその後RX−7などでも行われますがこの時期にこれだけ採用されているのは凄いことです。

Strut Seat Mould

トーションバーケースの近くにもサポートバーが固定されています。
フロアトンネルのような開口部にはこういった補強バーやプレートが入っており強固なシャシー剛性を持ちます。

フロントのエンジンとリアのミッションをリジットに結ぶトルクチューブも高い剛性を得るために閉断面パイプ構造(数ミリ開いてますが)です。
マツダのRX−8も同じ構造を取り入れました。

Brake

写真は968CSのM030スポーツシャシーオプション車のサスペンションとブレーキです。
ストラットサスは、KONI製で車高調整機能とダンパー調整機能が付きます。
コイルスプリングのスプリングレートは割と硬くはない(2.2kg/mm 〜2.9kg/mm) 。
ブレーキはフェラーリF40同等のブレンボ製アルミ4ポッドキャリパーと方向指定ドリルドローターです。
冷却ダクトも付きます。

924(2000ccNA)はディスクとドラムの組み合わせでしたが、924ターボS以降は4輪ベンチレーテッドディスクです。
944ターボ/944S2以降はブレンボ製アルミ4ポッドキャリパーになります。
後期型944ターボ/944S2CS/S2SP01/968M030/968CSM030車はフロントが更に巨大化しています。

当時の911(3.2Carrera、964前期)に比べてもブレーキ単体の性能は上回ります。

デビュー時の924は車重も軽くボディーもコンパクトで前後オーバーハングがかなり小さいライトウェイトスポーツでした。
基本構造は明快です。
しかし、パワーアップと共に車重やトレッドも大きくなりだんだんGT的になりました。

前後バランスに優れているのでGT的には理想的です。
ミッドシップが重量物のマスの集中をしているのに対し、924系は前後それぞれの車軸上に重量物を配置したレイアウトです。
これにより、ジムカーナ的な動きより、高速コーナーの走りに向いていると感じます。
実際、ドラポジを含めて高速長距離走行での疲れの少なさは今でもトップレベルです。

シャシーはかなり凝ったこだわりの作りなのですが、足回り自体はだんだん時代遅れになってしまいました。

リアのセミトレ+トーションバーサスが欠点。VWビートル流用でスペース効率的には良かったが、当初より不評でした。
早々にしてサスペンションブラケットがアルミ製別体になるなど改良されました。
951登場時にアームがアルミ鋳物製に強化されますが、そこまでやるなら928と同じマルチリンクに進化するべきだったのでは?
トーションバーのせいか、限界まで捻られると駄目、リアが滑ったりグリップしたりします
(その為、トーションバーを抜いてコイルオーバーにする強者もいます)。
セミトレもマルチリンクに比べると古くさく、リアショックも容量不足になりヘタリやすい。

928と同じくステアリングナックルのナックルアームが真っ直ぐでありアッカーマン原理に反するので小回りが苦手になるはず。
基本構造は最後までほぼ同じですが、'79年式を始め数回改良が行われています。
そして944B/951登場時にロアアームやガイデイングアームがアルミ鋳物製に大幅に変わり、968CSでリアにヘルパーサスが付きます。

こだわりのシャシー特性を活かしたステージで弱点を改造しながら乗れば今でも楽しいマシンです。