ミッション
- トランスアクスル構造なので、ミッションとデフは一体でリアにあります。
アウディーの縦置きFF車のトランスアクスルをリアに持ってきたと言えます。デフよりミッション部が後ろにあります。
- 初期の頃は4MTです。
- '79の924と'80の931と'81のカレラGTはポルシェ製(G31/)ミッションです。ミッションがデフの前あるストレートな構造なります。
当然ポルシェシンクロのポルシェ製、レーシングパターン5MT、なんと言ってもコンパクトで効率的です。
- '80の924からはアウディー製通常パターンの5MTになります。またデフよりミッション部が後ろにある変な形に戻ります。
- 951にはM414オプション('89以降標準)空冷フィン付きパイプのオイルクーラーがあります。小型ギヤポンプあり。
- 968にはゲトラク製6MTが採用されます。左上がR。
968はS2等に比べ発進時にエンストしやすいのに、ゲートの左右幅が狭いので発進時に1速のつもりが3速に入ってエンストさせやすい。
- 924Sや944Aのミッションマウント(サイレントブロック)はミッションの左右に付きます。
- 951や944B以降のミッションマウントはミッションの真ん中一ヶ所でサブフレーム(キャリアー)にぶら下がります。
両方ともミッション本体にはどちらにも使える用両方の穴が開いていますが、オイルクーラー付きには側面のボルト穴は無いようです。
- 968のミッションは真ん中だけ。
- シフトレバーについては操作系ページ参照
- 944B/951/944S/944S2はミッションにスピードセンサーが付いています。944A/924Sはそこに蓋がしてあります。968は無し。
- ギヤシフトロッドが、ミッションに連結するボルト(クランプボルト)には穴が開き、ワイヤリング(lockwire)がされています。
写真で説明ミッションの刻印とマウント位置
- 944のミッション(アウディー製)はミッションの頂上部(写真のピンク矢印部分)に刻印があります。
アルファベット+数字5桁で、アルファベット(Code)でミッションタイプがわかります。数字は製造年で、『日2桁+月2桁+年1桁』
944S2の場合、『AOS』'89-'91
944S2CSの場合、『AOT』'89-'91 LSD付き
944TURBO−Sの場合、『AOR』'88-'91 LSD,Oil Cooler ('89-951のにはAORと刻印があった。LSD,Oil Cooler付き)
- 写真の緑色の印の場所に951/944B以降のタイプはミッションマウント(1個)が付きます。
- 写真の青色の印の位置に、944A/924Sのタイプはミッションマウント(両脇)が付きます。
オイルクーラー付き以外のミッションケース自体はほぼ共通。どちらのタイプのミッションマウントも付きます。換装可能。
- 968(G44/00)は、964(G50/05)と表記がほぼ同じで、最初の5桁が形式、次がL.S.D.の有無、6桁がシリアルです。
968の刻印は底の面に打ってあります。
968MT(LSD無し)---------G4400 1 00****
968MT(LSD有りM220)-----G4400 2 00****
968Tip---------------------A4400 1 00****
- LSDの種別はわからないのかも? 機械式40%入り、トルセン入りと純製でも種類があるのだが。
ギヤ比
- ギヤ比はエンジン出力特製などに合わせて作るはずですが、5速は別の思想で決められたように感じます。
- 公道を走るのに、951、968以外はファイナルギアが低くローギヤードに感じます。
- '80年式のポルシェミッションの924ターボSは過給のために1速が低く('81より高いが)、燃費のために5速が凄く高い(離れてるし、高すぎっ)。
そして、レーシングパターンなので2−3は直線で操作が可能。
'81-'82年931はCG−No.258 参考です。
- '87年までの944/924Sの日本・USA用ミッション016Kは、'81-'82年の924ターボと4速が少し違う以外同じギヤレシオです。
1速が低く、5速が離れて高いギヤ構成です。ハッキリ言って155HPにこの日本用5速は加速不能に近い位高いでしょう。
その他の国用016J(Worldwide)は、5速が016Kより低い。ちなみにエンジンは有鉛ハイオク163HPです。
'88年式で、944も924Sもヨーロッパ仕様に統一され、5速のギヤ比が低くなりますが、他社とかと比べてもかなり低いギヤです。
- 944のミッションは、['85/2]944Bで、スピードメーターセンサーが付き、Codeが変更になります(016K-5Sor7V)。
924Sのミッションは、'87年式が944Aの日本仕様(016K-QMor8Q)、'88年式が944Aのヨーロッパ仕様(016J-QKor7Q)です。
- 日本仕様でも'89年式944は016Jのようです。エンジンは165HPです(FQSをハイオクしようにする必要があり)。
- 951は5速まで全てでステップアップ比のバランス良くなっています。リズムが良い。ファイナルは高くハイギヤードです。
- 944Sは951のファイナルを3.375から944と同じ3.888にローギヤード化しただけで各段のギヤレシオ、ステップ比は951と同じです。
- 944S2のギヤレシオは1〜4速が951/944Sと同じですが、5速だけがやや高く、ファイナルは944S/944よりやや速い。
- 968はクロースした6速で、本気走りに良い。フィーリングも良い。が、クロ−スミッションなので一般道では何速に入ってるかわからなくなる。
- ミツワのカタログやネコ本のデータには間違いがあります。
ファイナルの数値は、資料によって、3.888と3.889があるが、切り捨てか四捨五入の違いで同じ物です。
- 944S2は、排気量が同じ911SCとファイナルが同じ数値です。各ギヤは1速〜4速で911SCが高く、5速は944S2が高い。
951は、964(3600cc)と、ファイナルも各ギヤもかなり近い数値です。
- 924系はパワーとトルクの近いエンジンで比べると、911系よりファイナルがやや低いようです。
- 911{1978年(SC)〜1988年(Carrera)}の場合、924系より1速−2速間が離れています。2−3−4速は接近しています。
ギヤ比の表
- アウディ製と、ゲトラグ製の代表的なのを載せました。ヨーロッパ仕様や一部の日本仕様、そして、ポルシェ製は割愛しました。
- 各ギヤ間がどの位離れているのかは、ステップアップ比(ステップ比)でわかります。
1.000に近い数字である程、ギヤ間の差は小さくクロスレシオになります。逆に数値が小さい程、ギヤ間の差が大きくなります。
シフトアップで回転数がどの位落ちるかもわかります。現在の回転数にステップ比を掛けると、シフトアップ後の回転数がわかります。
回転落ちはトランスミッション・ダイアグラムでもわかります(924Sは本国仕様)
- ○倍とは、各ギヤ間で減速比(ギヤレシオ)を比べて何倍減速が多くなってるかを調べた数値です。
この方が大ざっぱで解りやすいかな。倍数が小さければクロレシオ(クロスギヤ)、大きければギヤが離れていると言う事です。
高いギヤになって行くほど、倍率は順に小さくなってゆくのが普通ですが、燃費重視で飛び抜けて高いのもあります。
- レシオカバレッジは、1速÷最終段(5速又は6速)です。数値が大きい程、広い減速比をカバーします。
- 3段目に各ギヤの到達速度(Km/h)を載せました。CG誌の計測データです(No.258,No.297,No.314,No.334,No.348,No.373 参照)。
016Kミッションは、motor magazine '87-1 誌の'87-924S 2速、3速、最高速のデータです(1速、4速は無い)。944Bのはカタログ記載の最高巡航速度です。
016Jミッションは、カタログ記載の最高巡航速度を載せました。
- カタログ数値とCG誌の実車光電管測定数値はほぼ同一(944S,951)でした。おそらく、'88年式924S/944もほぼ同じと思われます。
Audi/Getrag | オープン デフ | M220 (LSD) | M414 | M220 +M414 | 1速 | 2速 | 3速 | 4速 | 5速 | 6速 | ファイナル |
924('77/2-'78) 088/A | XT | - | - | - | 3.600 | 2.125 | 1.360 | 0.966 | - | - | 3.888:1 |
ステップ比 | 0.5903 1.7倍 | 0.6400 1.6倍 | 0.7103 1.4倍 |
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924('81-'82) 016/9(USA,Japan) | ME | 5Q | - | - | 3.600 | 2.125 | 1.360 | 0.966 | 0.729 | - | 4.111:1 |
ステップ比 | 0.5903 1.7倍 | 0.6400 1.6倍 | 0.7103 1.4倍 | 0.7547 1.3倍 |
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931('81-'82) 016G(Japan) | MX | 6Q | - | - | 3.600 | 2.125 | 1.458 | 1.107 | 0.729 | - | 3.888:1 |
ステップ比 | 0.5903 1.7倍 | 0.6861 1.5倍 | 0.7593 1.3倍 | 0.6585 1.5倍 |
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56km/h | 93km/h | 135km/h | 177km/h | 214km/h |
| 6200rpm |
944A('83-'85) 016K(Japan) 944B/924S ('85/2-'87) 016K(USA,Japan) | QL 5Y | 4M 7V | - | - | 3.600 | 2.125 | 1.458 | 1.071 | 0.729 | - | 3.888:1 |
ステップ比 | 0.5903 1.7倍 | 0.6861 1.5倍 | 0.7346 1.4倍 | 0.6807 1.5倍 |
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- - | 90km/h - | 129km/h - | - - | 215km/h 210km/h | ←924S ←944B |
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924S('88) 016J(Worldwide) 944B('88) 016J(Worldwide) 944B('89) 016J(Worldwide) | QK 5Y ASG | 7Q 5Z ASH | - | - | 3.600 | 2.125 | 1.458 | 1.071 | 0.829 | - | 3.888:1 |
ステップ比 | 0.5903 1.7倍 | 0.6861 1.5倍 | 0.7346 1.4倍 | 0.7740 1.3倍 |
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| 220km/h 218km/h - | ←924S ←944B ←無し |
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944S 083D | AGP | AGR | - | - | 3.500 | 2.059 | 1.400 | 1.034 | 0.829 | - | 3.888:1 |
ステップ比 | 0.5883 1.7倍 | 0.6799 1.5倍 | 0.7386 1.4倍 | 0.8017 1.3倍 |
|
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57km/h | 97km/h | 142km/h | 194km/h | 228km/h |
| 6650rpm |
944S2 083F | AOS | AOT | - | - | 3.500 | 2.059 | 1.400 | 1.034 | 0.778 | - | 3.875:1 |
ステップ比 | 0.5883 1.7倍 | 0.6799 1.5倍 | 0.7386 1.4倍 | 0.7524 1.3倍 |
|
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55km/h | 94km/h | 138km/h | 187km/h | 234km/h |
| 6400rpm |
951('86-'88) 951('89-'90) 016R | 016S UY - | 016S 9U - | 016R 5P - | 016R 5R AOR | 3.500 | 2.059 | 1.400 | 1.034 | 0.829 | - | 3.375:1 |
ステップ比 | 0.5883 1.7倍 | 0.6799 1.5倍 | 0.7386 1.4倍 | 0.8017 1.3倍 |
|
|
65km/h 63km/h | 110km/h 106km/h | 160km/h 157km/h | 217km/h 211km/h | 241km/h 250km/h | ←'86 ←'89 | 6300rpm 6400rpm |
968 G44/00 | G4400 1 | G4400 2 | - | - | 3.181 | 2.000 | 1.434 | 1.111 | 0.911 | 0.777 | 3.777:1 |
ステップ比 | 0.6287 1.6倍 | 0.7170 1.4倍 | 0.7748 1.3倍 | 0.8200 1.2倍 | 0.8529 1.2倍 |
|
63km/h | 100km/h | 139km/h | 180km/h | 218km/h | 245km/h | 6800rpm |
| 951 | 968 | 944S2 | 944S | 944(016J) | 944(016K) | '81-931 |
1速の総減速比(1速ギアXファイナルギア) | 11.813 | 12.015 | 13.563 | 13.612 | 14.000 | 14.000 | 14.000 |
オーバートップの総減速比(5速又は6速) | 2.800 | 2.935 | 3.015 | 3.223 | 3.223 | 2.834 | 2.834 |
レシオカバレッジ(減速比の幅) | 4.222 | 4.094 | 4.499 | 4.222 | 4.344 | 4.940 | 4.940 |
- オーナーズマニュアルに、エンジン最高出力曲線、加速曲線、トランスミッション・ダイアグラムが載っており、計算の参考になります。
- ダイアグラムで見ると、924Sと944S2の1〜4速は全く同じグラフです。図は大ざっぱかもしれません。
- 968の6MTは、S2の4速と5速の間に951の4速を入れて968の5速にした感じなんですね。
- 1速の総減速比は、944/924Sが異常に低いことがわかります。
- 968の6速の総減速比は、944S2の5速の総減速比よりわずかに高いが、951より全然低いことがわかります。
- '88年式924Sのミッション換装前後の実測データです。スピードメーターでの目視測定ですが。
924S(016J)MT実測メモ:5速時:100km/h-2600rpm、150km/h-3800rpm、
924SのS2MT化実測メモ:5速時:100km/h-2300rpm、
'87年式の924S(016K)MTは、100km/h-2400rpm位らしいです。計算が合わない?
ミッションの換装
- ROMチューンなどでパワーアップした場合は、ファイナルの高いミッションに乗せ替えてギヤ比を変更すると走りやすくなります。
- ギヤ比の変更にはミッションごとの載せ替えが現実的です。
トランスアクスルなので、ファイナル変更目的のデフ交換が出来ず、ミッションごと開ける羽目になるからです。
- 944(944B/951/944S/944S2)同士では結構簡単に載せ替え出来ます。
944A/924Sとの載せ替えでもミッションマウントの穴は両方に対応しているので、スピードセンサー入れ替えればOKです。
968の6速ミッションはかなり異なるので色々問題がありますが、下記のようにすれば可能です。
- 開けるのが面倒なのでミッションごとの載せ替えを紹介しましたが、ファイナルだけ交換も可能ではあります。
944のリングギアとピニオンシャフトには、下記の組み合わせがあります。
9:35(3.889)、8:27(3.375)、8:31(3.875)
詳細は不明ですが、ベアリングの型番が違ってる場合などはシャフトとかの太さが違う可能性がありますので、そこだけ交換とはいかないかもしれません。
944/924Sのギヤ比は変! 944S2ミッションに換装
- 街中で944/924Sのギヤ比は低すぎます。
FQS調整やロムチューンでパワーが出ると、ローギヤードな事に気付きます。
1速はタコの上昇に対して前に進まず、五月蠅くなる前に2速にチェンジするしかありません。
1速をレッドまで引っ張らない走りの場合、シフトアップタイミングを後に出来るハイギヤード化が乗りすいはず。
渋滞では、ノーマルミッションでは1速と2速を繰り返し操作するハメになるが、944S2ミッションなら1速でカバーできます。
- 944S2ミッションに交換した場合、少しハイギヤード化します。
ファイナルを始め、少しずつ高くなります。1速の最終到達速度は大差ありませんが、チョットの差が大きい。
0発進の半クラが気持ち長くなり、3速などのエンブレが弱くなるなど、ハイギヤードになった事がわかります。
- 2速から1速へのシフトダウンもしやすくなります。
- 日本の峠道にはヘアピンカーブが多い。そんなステージでも944S2ミッションのギヤ比は使いやすい。
ノーマルだと、ヘアピンでも1速は低すぎるため、2−3−4速を使うようになります。4速は入っても一瞬で、すぐ3速に落とす場面も多く不便。
これが、1−2−3速を使うようになるのでかなり加速しやすくなります。
- サーキットでは、944S2ミッションよりノーマルミッション('88年〜'89年式)の方が良いそうです。
- 高速道などでの燃費は、計算上だと5速の総減速比から、'83年〜'87年式では悪化し、'88年〜'89年式では良くなるはずです。
- 換装はほぼボルトオンです。944A/924Sの場合、車側のマウントをそのままS2ミッションに付けられます。
- 951のミッションの内、オイルクーラー付きのミッションはデフのカバーにネジ穴が開いてないので924Sへは改造が必要。
- 968の6MTにするには、ミッションマウントが異なるためサブフレーム(キャリアー)を作る必要があります。
ただし、5速、6速を廻しきれる場面はそうそうないと思います。1速は半クラが気持ち長くなる。
944S2を951ミッションに換装
- 元々S2は低回転からトルクの出るワイドなエンジン特性の3000ccなので極端に言えば1−3−5速だけでも走れる程です。
- S2のファイナルはちょっと低いと言うことで、ハイギヤードな951ミッションにした方がいます。
場面によってはギヤがベストマッチすると重宝しています。高速での4速の伸びは実戦向きらしい。
6MT化
- 日本でも924Sや944S2を6MTに換装した方がいます。
- S2は元々トルクフルな特性なので5速で十分ですが、楽しさとかっちりしたフィーリングの良さを楽しめます。
- ミッション接続部の位置は変わらないのですが、968のトルクチューブはクラッチケースが大きいために短く、MT交換のみでは944用を使用します。
ドライブシャフトはデフの横幅が変わるので968のを使います(左右不等長)。
ミッションマウントは加工(スペーサー?)が必要。
特に944A/924Sの場合はマウント(ブロック)穴が側面に存在しないのでアダプター製作が必要。
シフトロッドは944用のままで可能。縦方向はショートストロークになり、横方向はゲート分増えてボディー側に若干加工が必要。
- 944B〜はミッションからスピードメーターのパルスを取っていますが6MTには付いていません。
6MTにセンサーが無い968は4chABSからパルスを取っています。
S2等のABSユニット(助手席壁面のコンピューター)は品番が古いので968用に交換してパルスを取ります。
924/944AはABS無いしスピードメーターは前輪からケーブルからなので関係ありません。
問題はABSの無い944B/944Sなどですね、諦めてABS付きに乗り換えるか968買ってしまった方が安く上がるかと。
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L.S.D.(ノンスリ)924用
- 新車時のプライスリストには書かれていませんが部品としては2000ccMTにもL.S.D.は存在しました。
- NA車は944.332.053.00で、944Aタイプとも共通。
- ターボS/GTのG31ミッションには930.332.053.02(40%)
L.S.D.(ノンスリ)944用
- D車の場合、944S2CSは、L.S.D.標準です。'89-951も標準です。
- D車の場合、951の前期型はL.S.D.とミッションオイルクーラー(空冷)はオプションです。
- リフトアップして片方のタイヤを回して反対側が同じ方向に回ればL.S.D.入り、反対側が全然回らなければ無し。
- 944/924S/951/944S/944S2 は共通です。
L.S.D.はMT車のみ設定がありました。
部品番号:951332053.05
- L.S.D.交換にはドライブピニオンの出入り調整必要な場合と不要な場合で工賃に差が出ます。フランジもL.S.D.用に交換。
- ロッキングファクターは40%で、ドリフトには弱すぎる値です。
ポルシェ社はL.S.D.を標準にせず、弱い40%にしているのはプッシングアンダーを嫌ってでしょうか?
- 944/924S/951/944S/944S2 用と、968/964/993用の社外L.S.D.にはクワイフデフというのもあります。
機械式L.S.D.はまめなオイル管理やオーバーホールが必要ですが、トルセンやクワイフは基本的にOH不要です。
- 社外L.S.D.にはOS技研のスーパーロックL.S.D.というのもあります。
944('83-'91)用ですが、951を除くとあります。純正オイルクーラーのせいかな?
- L.S.D.はMT車用ですが、雑誌によると944Bベースの Kremer K4 にはAT車でもL.S.D.が入っていたようです。
L.S.D.(ノンスリ)968用
- 968でも通常はノンスリ入っていません。CSでさえオプションです。
- リフトアップして片方のタイヤを回して反対側が回らないとトルセン?逆方向に回ると無し。
- D車の場合、968は1992年式は2タイプ、機械式ZF製(053.00)とトルセン(063.00)です。
1993年以降はトルセンデフのみの設定になりますが機械式も入れられます。
ロッキングファクターは共に40%です。968Turbo-S でさえ75%です、100%ではありません。
- 968のMT車は964/993(G50)のものが入ります。
- 964/993(G50)用の社外L.S.D.には日本製もあります。ロッキングファクター100%の強さかも?
911系純正L.S.D.は特性上アクセルオフの時に効く普通と逆のワンウェイらしいので注意です。
−−−−−カーツ
−−−−−OS技研
924S純正L.S.D 装着
- 1995年頃ディーラーの新品L.S.D 装着見積もり
L.S.D (本体、フランジ、G/K、オイル):約31万+ショートパーツ代
工賃:ドライブピニオン出入り調整有り:9万〜
工賃:ドライブピニオン出入り調整無し:6万〜
924SL.S.D 中古部品持ち込みO/H組み込み
- 2002年頃都内某ポルシェ専門工場の見積もり
オーバーホール使用部品(リング・プレート・シール・オイル):約6.5万
工賃:ミッション脱着&L.S.D オーバーホール:約5万円
- ちなみに、純正は機械式L.S.D ですので中古品を組むならO/Hもすべきでしょう。
- L.S.D 付きデフを組み込むより、ミッションごと交換の方が工賃は遙かに安くなります。
程度の良いL.S.D 付きミッションを入手出来れば、ミッショントレード交換も手です。
- CVジョイントのボルトは再使用しない方がよいです。
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オイル交換
- MT車のデフとミッションはFF車と同じく様に一緒のトランスアクスルなのでオイルも一緒です。
- 924型5MT車は約2.6L
- 944型5MT車は約2.0LのGL4(MIL-L2105)のハイポイド・ギヤオイルSAE80を使用(当時)。
- 968型6MT車は約2.75LのGL4(MIL-L2105B)のハイポイド・ギヤオイルSAE75-90を使用(当時)。
- 1万kmでの交換推奨('88当時、現在はオイルの進化によりもっと伸びてるかも、GL5,GL6が出てるし)
- 944型は取り説では2.0Lです。穴から溢れるまで入れると2.5Lになってしまいます(924S,944S2確認済み)
2.0Lと言うのは穴から6mm〜8mm下が規定だからです。
- 944型MTのドレン、フィラー両プラグは17mmのヘックスを使用します。両方ともデフ左側面にあります。ガスケットもシールテープも無しです。
- 試しにフィラーが緩むか確認してからドレンを抜きましょう。トルクは25〜30Nmです。
'88以降の大きなマフラーの車のフィラーはエクステンションで延長してマフラーの上を跨いで工具を入れた方が良さそう。
フィラー(点検穴)からオイル注入します。
1L缶等を買って入れる場合、注射器の大形版みたいなオイルシリンジ(オイルサクションガン)で缶から吸って注入します。
- 968型MTのドレン、フィラー両プラグは10mmのヘックスを使用します。ドレンはデフ下面中央です。フィラーはデフ左側面。
968デフの異音
- 968の6MT車のデフから異音が出るようになってしまうことがあります。
- イギリスのサイトで968の異音にゲトラグ社の自動組み立てはピニオンベアリングのプレロード調整にムラがあるためと言う話が出ています。
- リングギアに当たってるピニオンシャフト(アウトプットシャフト)の調整が悪いためで、音が出ると言うことは調整だけでは手遅れでベアリングも交換。
ベアリング自体も弱いようです。
- アウトプットシャフトの2組のピニオンベアリング位置はシムで調節でき、何種類もシムは準備されているはずです。
あれこれ
- 普通のFR車と違います。リングギアに当たってるピニオンシャフトがイコール、ミッションのアウトプットシャフトである一体構造なのです(MT車)。
- ボディの振動がエンジンマウントの劣化だけでなくミッションマウントも交換しないと消えないこともあります。
- 944B〜S2ではミッションにスピードメーターセンサーがあります。
- AT車のデフはAT/Tipの項参照。
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